救えないくらいに暗くてグロくて壊れてます。気分が悪くなるかもしれません。 いろんな意味で痛いです。
性的表現はありませんが、教育的・精神的によろしくない表現があるので一応 義務教育中の方は(できれば高校生も)ご遠慮くださいませ。
それ以上の方は自己判断でお願いします。
ちょっとアップするにはあんまりだろ、という時には下げるので拍手でおしゃってください。


それでも読むという方はどうぞ。



































四肢に裂かれるようなモノに身を貫かれ意識を飛ばした。










仄暗い沼の底で僕は足を奪われ朽ちて逝く










目が覚めればそこは愛する人の腕の中。
髪を撫でられる感覚に意識が急浮上。
犯人は誰だか分かってる。まだはっきりと覚醒しない頭で彼の眼を見つめるといたずらに笑っていた。
ごめんね、ときっと俺を起こしたことに対する謝罪を口にする。
謝る気なんてないくせに。確信犯で俺を起こしたに違いない恋人の腕枕にめいっぱい顔を埋めた。

カーテンの隙間から薄く朝日が漏れていた。




「ねールルーシュ、」
「なんだ」
「僕さ、すっごい今、幸せ、かも」
「…馬鹿か」
「ルルーシュ馬鹿なら認めるよ」

彼はシャツもズボンも身に着け、けれどラフな格好でコーヒーを持ってきた。
対して俺は軽く羽織ったシャツ一枚。
コーヒーを受け取り、それを一口飲んでベッドサイドのローテーブルに置く。
同じくコーヒーを飲んだスザクがベッドに腰をおろした。
ギシリとスプリングが悲鳴を上げる。
そのまま雪崩れ込むようにベッドに押し倒されてくすくすと笑い合った。

「よかった。よかった、ぜんぶ、すてて。そうしたらほら。いま、こうしてきみといれる」

なんて幸せなんだろう。
悦がはいった表情でそう言うスザクの頬を撫でた。



俺たちはすべてを捨てて、二人で逃げた。
スザクは何も言わずに騎士を辞め軍を辞めもちろん学校も辞めた。
あれだけ貫き通そうとしていた彼の信念すら捨てた。
俺も捨てた。『ルルーシュ・ランペルージ』を捨てて学友もゼロも。
そしてナナリーも。
まさか俺がナナリーから離れられるなんて、思ってもなかった。
けれどその時になると意外とあっさり彼女と永遠の別れを決意できた。
何も言わずに出てきたからきっと心配してるだろうな。そう思うけれど、誰にも教える気にはならない。
誰も俺たちのことを知らないところに行きたかった。
そしてようやく手に入れた二人だけの場所、空間、世界。

ばいばいアーサー。君は結局僕に懐いてはくれなかったね。
スザクがアーサーに別れを告げた。
あ!見た!?ね、見たルルーシュ!いま、アーサーが僕の手を舐めてくれたよ!!
最後だからと言わんばかりに好意を見せたアーサーに、スザクが子供のようにはしゃぐ。
あんまりはしゃぎすぎて、調子に乗って抱き上げたりするから顔面に猫パンチをくらっていて、それが妙に可笑しかった。
つまり誰にも言わなかったスザクとの逃避を知るのはアーサーだけなのだ。


首元にふわふわとくすぐったい感触を感じる。
スザクが開いた俺の襟元に顔を埋めて、何個も何個も痕をつけていた。

「夢みたい。君とこうしていられるなんて、夢のようだ」
「もう、お前と離れたくない。離れられない」
「ああこれが夢なら覚めないで。ようやく君といることができるんだ」
「夢なものか。これは、現実。夢であってたまるか」
「うん、そうだね」

そう。これは夢ではないのだ。
ようやく手に入れたスザク。俺の唯一。

「明日も明後日も、一週間後も来年も、その次も、ずっと、」
「スザク、」
「永遠に、死が僕らを別つこともなく、」
「俺はお前といるよ、スザク」
「僕、ひとつになりたいな。このまま、君とひとつに。」

首に熱が走った。
声が出ないくらいの、強烈な痛み。
スザクの言葉が性的な意味ではないと、なんとなく感じた。

「んっ、あ…、いた、いっ」

噛みつかれた。
情事の最中に痕を残すことを目的とするそれとは違う。
頸動脈を、狙って。
ああ、動物が獲物を仕留めるときと、似ている。
相手の血肉を己の体内に取り込もうとするあの行為と。似ている。

「いた…、スザ、ク、」
「ん、ん。…っは、ぁ」

このまま本当にひとつになるんじゃないかと思った。
俺の血肉がスザクのなかに。
ぐちゃぐちゃに混ざり合って、もう別つことなんて不可能になって。
俺の血肉でスザクが、生きて。
ああなんてロマンチックでサディズムでマゾヒスト!

くちゅりと湿った音がする。
首から血が流れ肉が無くなった感覚がした。
くちゅくちゅと、スザクが俺の肉を食んでいる。
ワインのように、流れる俺の血液を呑んでいく。

「ん、ん…っ」
「は、ぁ。ルルーシュ、ルルーシュ…っ!」

ザラリとした感じがして、全身の鳥肌がたつようだ。
スザクの舌が俺の内側を舐めていく。
噛みつかれたそこから血液が吸い出される感じがする。
スザクの行為が、必死に俺を食んで漏れる声が、スザクの咽喉が上下するその動きが、すべてが、快楽にしか感じなくて。
やられていることは全く違うことなのに、性的な興奮を感じる。
高ぶっていく熱が、身体を支配しそう。

スザクは犬のようだと言ったのは誰だったか。
今は犬というより狼、だ。
スザクが一頻り舐めつづけ食みつづけていた顔をあげる。
彼の口の周りは俺の血で赤く染まっていて、それにも酷く興奮した。

「おいしい…おいしいよ、ルルーシュ。もっと、ちょうだい、」
「いくらでも。俺の全ては、お前のもの、だよ」

嬉しそうに細められた翡翠の眼。赤く染まった唇が俺のそれに重なる。
鉄の味がするだろうと予測していた口づけは砂糖菓子より甘かった。
身体の内側を舐められていた感覚は口内を舌で犯されるそれとよく似ていることに気づいた。

きっとスザクの一部となった場所は5センチ程の量に違いないけれど、それでもとても甘美な行為。

「あいしてる。僕と、俺とひとつに、なって」
「お前が望むなら。…『ルルーシュ』が命じる」

ギアスなんて関係ない、本心からの命令。
『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』でも『ルルーシュ・ランペルージ』でも、もちろん『ゼロ』でもない、 ただの『ルルーシュ』を



「おれを、のこさず、たべろ」



次いで首筋に感じた甘く痺れる感覚に意識を飛ばした。






























目が醒めるとそこは見慣れた天井があった。


「大丈夫か?」

声のしたほうへ視線を向ける。
上体を起こしたかったが身体は動かなかった。

「ずいぶんと派手にやられたな。下手なくせに一人でナイトメアに乗るからだ」
「…う、さい」
「はっ。声も満足に出せないのか。その様な姿、団員たちには到底見せられないな」

見慣れているこの場所は黒の騎士団のトレーラーの中の自室だった。
部屋にいたのは愛する男ではなく共犯者の女だった。
ひとつになったはずの俺は生きていた。

「ああ現状が掴めないのだな。私が特別に説明してやろう。」

いつもの拘束服ではなくパイロットスーツを身に付けた魔女が近づいてきてベッドに座った。
ギシリとベッドが悲鳴をあげた。

「大した腕でもないお前は何を思ったのかガウェインではなく一人で無頼に乗った。」

意識が少しずつ、はっきりとしてきた。

「案の定、白兜――お前の愛する男がお前を見つけお前の機体だけを狙い攻撃していたよ。」

身体が痛みを訴えた。

「やはりいつものように機体を壊された。」

その場所を探ると、そこは腹部。

「逃げることも他の団員の応援を呼ぶでもなく、お前はただ素直にあの男に従って操縦席から降り、」

触れたのは肌ではなく布――包帯。

「無抵抗に腹を銃で撃たれた。」

動かない身体の上半身を無理やり起こした。

「私が来たときにはお前はすでにその場に倒れていた。」

首元に手を伸ばす。

「共にきた紅蓮弐式が白兜の相手をしている間に私がお前を連れ帰ったんだ。」

あるはずの傷が、ない。

「情けない。ああ情けないな。お前はいつまで茶番を繰り返すつもりだ。」

ベッドサイドのローテーブルにはゼロの仮面。

「今回で何度目だ!?馬鹿みたいに、嫌、馬鹿の方がよっぽど救いようがある。」

そしてその隣にはナナリーから貰ったもの。

「そんなにあの男に心酔してどうする。」

捨てたはずのそれらが目の前に。

「今日もあの男は、お前を殺そうとした。」

やめろやめろやめろお願いだやめてくれ。

「それは愛情なんかじゃない。憎悪でだ。」

現実が、フラッシュバック、してくる。

「いい加減、自分の描いた夢から抜け出せ。」

目が、夢が、醒める。

「惚れた男の影を追い続けるなど、どこの乙女だ貴様は」


現実は、俺を憎み殺そうとするスザクしか、いなくて。


「…そうか。俺は、また、やってしまったのだな。」
「ようやく正気に戻ったか、この馬鹿が。」
「ああ。お陰様で」

そうだ。
スザクと愛し合っていたのはもう随分前のこと。
スザクはゼロが俺だと分かっても、いや、寧ろ分かってから俺を本気で殺そうとした。
意識を飛ばしたあの身を貫いたモノは、銃弾。
いつからだろう。
俺がこんな愚かなことをしだしたのは。それも、記憶に残っていない。
酷く厄介で、そしてなんと愚かであるか。
もう、彼といることなど、ひとつになることなど、有り得ないのに。

「C.C.、包帯は、余っているか?」
「ああ。だが何に使うのだ?傷口の包帯は替えたばかりだ。」
「腹ではない。別の所に、使うんだ。」

投げられたそれを受け取り、鏡などないから手探りでそれを己の首に巻く。
視界の隅でC.C.が顔を顰めた。
何をしているのだ、と問われたがそれに答えるつもりはなかった。
ゼロの服を着てしまえば首など隠れてしまうのに。
C.C.が嘲笑った。
やはりお前は未だくだらない夢に囚われているのだな。
それを聞かないふりをした。







(ああ、スザクの痕が残っていない首など、隠してしまえ。隠さなければいけないのだ。)
なんて愚かだ。 その行為は首元に痕があると己を錯覚させるためのただの小芝居でしかすぎないのに。それすら気付かないなんて。




















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あの、ごめんなさい…!
凄く痛くて暗くてグロくて救えなくて壊れてるそんな話書いてしまって…!
好き嫌い云々ではなくて、この話はアップするのは問題だろう、と思われた方は遠慮なく拍手で言ってください。 そしたら下げますので。
これのスザク視点なんて書けたらいいなぁなんて思ってます(コラ!)
なんか自分で書いてて受け入れられるか不安なので反応があると嬉しいです…!



2007.05.27