ある日の生徒会室1 リヴァル・カルデモンドの報告



本日の天気、晴れ。適度に雲が浮かび温度湿度ともに良好。肌をくすぐるような優しい風も吹き、 こんな日には授業を放り出して遊びに行きたくなる。 愛車でドライブに行ったら最高なんだろうなぁ。生徒はもとより教師でさえも授業放棄したくなる、そんな穏やかな日。

ただしここ、生徒会室を除いて。

表現するなら真冬。行ったことはないけれど、きっと北極や南極はこんな感じに違いない。
窓から見える外を、そう思いながら溜息をついた。もちろん心の中でだが。
その様子を作り上げている諸悪の根源(もちろんこれも口に出せるはずはない。まだ命は惜しいから心の中で思うだけ。) である2人――ルルーシュとスザク。
女王様と忠犬、世界代表のバカップルで通っている2人は今こそこの状態。いや、むしろ何プレイ?

ソファに座り足を組み、優雅に紅茶を飲むルルーシュとその足元で床に額をこすり付けるかのように土下座(というらしい。 なんでもイレブンの伝統だとか)をしているスザク。
はっきり言って怖い。すみません私をお許しください、とばかりな下僕と、それをまるっきり相手にしない女王様。
ああ誰かこの空気を消してくれ。痛いよ重いよ苦しいよ。
他の生徒会メンバーに視線をやると、明らかにお前が頑張れ、と語りかけてくる。 アーサーにいたっては目が合うなり欠伸をされた。

(オレが…オレがやらなきゃいけないのね)

向けられる視線に、諦めて勇気を持って口を開いた。

「あのー…お2人さん?なにか、あったのですか…?」

思わず敬語になったのは仕方がない。
勇者リヴァルは命が擦り切れる覚悟でそう言った。
言ったのだが。

「黙ってろ」

そんな尊大な女王様の一言の前ではお言葉通り黙るしかない。
カタリと椅子に座って(あまりの剣幕にちょっと泣きそうになったのは秘密だ)大人しく自分に割り当てられた仕事に取り組む。 隣にきたシャーリーが小さい声で言った。

「どんまいリヴァル!」

ならオレだけに押し付けないでよ、と思ったのは言うまでもない。

もう一度外を見て、溜息。
今日も生徒会室は荒れてます。




2007.03.17











こんなのが書きたい1
スザルルでゼロルル双子皇族でスザクがルルーシュの騎士(になる予定)なパラレル。



転校生が来る。

その話題で教室は朝にも関わらず賑わっていた。
生憎というかなんというか、公務でここ2,3日休んでいた俺はそれを知らず、 初めはこの騒々しさにまた祭りでもあるのかと唖然としてしまった。

(なんだこの落差は。)

教室に足を踏み入れた段階で、まず思ったのはこうだった。
黄色い悲鳴をあげ騒ぐ女子と、それを拗ねたように見つつ溜息をつく男子。転校生が来る、 という情報は教室に行く段階で手に入れていたため、眼前に広がる光景を見て来るのが男なのだと理解した。

(それにしても何て分かりやすいやつらだ。)

転校生の性別が同性だったからといってここまで落ち込むか、普通。
明らかに意気消沈の男子に目を向け、己の席について溜息をついた。
連日のハードな公務で少々寝不足気味な自分にとってはこの騒動は迷惑に他ならない。
寝不足と疲労からによる痛む頭を押さえていると、後ろから思いっきり肩を叩かれた。
分かり切った犯人の頭を構わず持っていた本の角、もちろんハードカバーのそれで目いっぱい叩くことで欝憤を解消した。
当の叩かれた本人であるリヴァルは涙目になりながら叩かれた箇所をさすりながら話しかけた。

「…どうしてそんなに不機嫌なのよ、ルルーシュぅ…」
「人が寝不足なのに朝っぱらからこんなに騒がしいからだ」
「でもさ、それはオレの所為じゃないよね?」
「頭の痛い俺の肩を叩くお前が悪い」
「……なにも本の角で叩かなくてもよくないっすか

涙目ながらもおはよ、と挨拶するリヴァルにおはよう、と返すとリヴァルがにっこり笑った。
そして俺の前にまわって、机に肘をついた。

「なあなあ、知って」
「知ってる。転校生が来るんだろう?そして転校生は男なんだろう。そんなのこのクラスの状況を見れば直ぐ分かる。 なんだあの男子どもの落ち込みようは…」
「まあそうだけどさ。だってなんか転校生がすっげぇ美形らしいんだよ。美形が2人!そりゃあちょっとは落ち込むわな。」
「2人?普通は1人1人他のクラスに割り当てられないか?」
「なんかさ、転校生って言っても1人は1ヶ月だけの短期留学?みたいな形でもう1人と知り合いらしいから。 同じクラスに入れちゃえ!って会長が言ってた。」
「……何を考えているんだ、あの人は」

なぜよりによってこのクラスに入れるんだ、と頭痛が更に酷くなった。
だめだ、どうしてもあの人が笑ってる。ルルちゃん全部お願いねー!任せたわ!と言いながら笑ってる。
再びはぁと溜息が出るとそれと同時にチャイムが鳴り、教室のドアが開かれた。
リヴァルをはじめ、まだ席についていないものが一斉に慌てて席に着く。ちょっとした混乱のようなそれを見つつ、 また溜息がこぼれた。
明らかにソワソワしている生徒たちの期待を裏切って入ってきたのは見慣れた担任だけ。
挨拶の前に誰かが転校生は?と叫んで落ち着けと怒られた。

「はいはい。今から転校生が入ってくるからお前たちは少し静かにしろ!」

呆れ声の教師がそう言っても聞くはずがない。更に騒がしくなった声が酷く頭に響いて、身体を机につけて窓の外を見た。

(はっきり言って転校生に興味はない。このまま寝ようかな。)

うつらうつらし始めたとき、不意に教室が静かになっているのに気付いた。

(あれほどまでに煩かったののいなぜこんなに静かになったんだ?そして俺に視線が集まっている気がする。)

気にはなるが身体を起こすのが億劫で顔だけ動かし、教卓の方へと視線を移して

そして自分の目を疑った。

「スザク!?ゼロ!?」

「ルルーシュ!」
「ルルーシュ!?」

気がつけばガターンと驚きの余り激しく椅子を倒して立ち上がり、思わず思い当たる名を叫んでいた。

ああ、間違いなく自分の片割れと最愛の幼馴染。

前者は明らかに俺がこの教室にいるのを知っていたのだろう。 してやったりという顔で笑い、後者は明らかに知らなかったようだ。
今でも目をぱちくりさせながら固まっている。

(待てよ昨日会ったときゼロは何も言わなかったじゃないぁ!!)

不意に静まった教室と自分に集まった視線の理由を理解し、 それと同時に全てを知っている上でゼロと手を組んでいるであろう会長の笑顔が浮かんだ。

(ゼロと会長め…!覚えておけよ!!)

自分と同じもう1人の被害者、スザクもかわいそうである。だが今の俺にスザクを気に掛ける余裕はなかった。

力の抜けた身体はそのまま逆らうことなく床へとペタンと座りこんだ。
はあ、と今朝から何回目かも分からない深い溜息をついて、悪化した頭痛のため頭を押さえた。




2007.03.19











カマンセンス01



「スザク」
「なに、ルルーシュ」
「…別に」
「そう」


「スザク」
「ん?」
「呼んだだけ」
「ん」


「スザク」
「なに?」
「あのな、その…」
「うん?」
「なんでもない」


「スザク」
「ねえルルーシュ」
「…何だ?」
「今夜君の部屋に泊まってもいい?」
「っ!…当たり前だろ」
「ありがと」


「おい、誰かあいつらを止めてくれ……!!」
「リヴァル、それは無理な話よ」

クラスメイトの視線の先には先程から同じような会話を続けていたルルーシュとスザク。
それもさっきのスザクの言葉により、もう後に繰り返されることはないだろうが。
甘ったるい空気を振りまいている自覚はないのだろうか。いや、あるはずはない。
時間を増すごとにどんどん甘い空気が教室中を埋め尽くしていく。
2人がそんな空気を出し始めてもうかなり日にちは経つが、そんなのにいつまでたっても慣れるはずもなく すでに何人かは耐え切れなくなって教室から出て行った。


人を穏やかにするようなスザクの笑顔と耳まで真っ赤にしながらどこか嬉しそうなルルーシュに、 今晩なにをするつもりですか、とは誰も聞きたくはなかった。



無自覚バカップルは周りに有害!





泊まりに来ないかと誘いたくて何回も話しかけるけど恥ずかしくて言えないルルーシュと、
そんなルルーシュの言いたいことが分かっててあえて気付かないふりをしていたけど あんまり可愛いもんだから自分から言い出したスザク。





2007.03.20