こんなのが書きたい2
こんなのが〜1のルル皇女。スザルルが主従でゼロカレが主従。スザルルは付き合っててゼロはルルーシュ大好き。
ガタンと派手に音を立てて、黒髪で美しい女子生徒が立ち上がり走り出した。
教室前方の彼女の目的の人物に向かって、一直線に。
「スザクっ!!」
「ルルーシュ!?」
ゼロと共に半ば強制的に(ゼロに脅されたのは言うまでもない)学校に通うことになったスザクは、
ゼロのパシリよろしく彼の鞄を持ってゼロの隣を歩いていた。
大好きな幼馴染との約束を守るために、騎士養成学校なるものに通っていたスザクは晴れて先日、首席で卒業したばかりだ。
(ちなみに騎士養成学校とは皇族推薦、もしくは上官推薦の人間が騎士になるために相応しい能力を養うための所だ。)
これで愛するルルーシュの騎士になれる、と意気込んだものの、当のルルーシュはその頭脳を買われ自分の祖国日本、
いやエリア11に渡っているというではないか。
どうしたものだ、と考えていると、ルルーシュではない皇族に騎士団に入らないかと誘われてしまった。
どうやって断ろうと考えているとき、偶然ゼロに再会したのだ。
「こいつは売却済みなのですみません兄上」と気持ち悪いくらいの爽やかな笑みを添えて、
スザクを引きずるように連れて行ったのはスザク本人の記憶にも新しい。
騎士養成学校に通っているときは、外部との連絡を完全に断たれていた。
と言っても、生徒の情報は常にリアルタイムで皇族は見ることができたのだけれども。
だからスザクはルルーシュがまさかエリア11に行っているとは思っておらず、
卒業したらすぐに会えるだろうと少々甘い考えを持っていたスザクはすぐに幼馴染のゼロに会えることができて
内心とても安心していた。
「おい、スザク。私の話を聞いているのか!」
「あ、ごめん…聞いてなかった、です」
ちなみにゼロからの頼みにより、公式の場以外では以前のように(つまり幼馴染として遊んでいたときのように)
普通に喋ることを要求されたのでスザクもそれに甘んじている。
「それでだ。私は今日本にいる。もちろんあの子も一緒に、だ」
「!本当、ゼロ!!」
「私はお前とカレンを日本に連れて行くつもりだ。そこで向こうの学校に通え。私が手配しておく。」
「どうして学校に通うの?僕は早くルルーシュの傍に行きたいなぁ、なんて…」
「いいかスザク。お前があの子に会えるのも全て私にかかっているということを忘れるなよ?」
「…イエス、ユア ハイネス」
なんとも恐ろしい冷気を漂わせる笑みに、スザクは軍式の返事をするしかなかった。
そんな感じで本国を出国してから今。
スザクは同期であるカレン(ちなみにカレンは次席で本人は大変不服そうだった。それとスザクほどではないが、
昔からルルーシュとゼロの知り合いでもある。)とともに、ヴィ家の後ろ盾のアッシュフォード家が運営する学園に
そろって転入することになったのだった。
「枢木スザクです。軍人でもありますので学校に来れない日も多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします!」
「カレン・シュタットフェルトです。体があまり強くないので休みがちになると思いますが、よろしくお願いします。」
なぜ同じクラスなのだろ、と疑問に思ったのはスザクだけではなくカレンもだ。
しかも女の子だから、ということで一応カレンは軍人だということを伏せている。
あまりの猫かぶりにスザクは笑を堪えるので必死だった。
とここで話は冒頭にもどる。
己の名前を呼びながら勢い良く腕に飛び込んできたなによりも愛しい想いの人を、
スザクは戸惑いながらもしっかりと抱きしめた。
ざわめく教室なんかお構いなし。
スザクとルルーシュはあっという間に二人の世界に突入してしまった。
「…ルルーシュ、なんだね?」
「あたりまえだ!俺以外の誰に見える?まさかゼロとか、言わないよな?」
「まさか!そんなことあるわけ無いよ!僕が君とゼロを間違えたことなんて一度でもある?」
「冗談だよ、スザク。お前が俺を間違えることなんてないもんな。…しばらく見ないうちにすっかり変わったな。
背も俺より高くなってるし、身体つきも前よりしっかりしてる。前まではかわいい、って感じだったのが今は…
かっこいい、よ、スザク。」
「ありがとう!君にそう言ってもらえるなんて、僕嬉しいよ。でもルルーシュも綺麗になった。
ううん、昔っから綺麗だったけど一段と綺麗になったよ。大人っぽくなって、でも女の子らしく可愛いところもある。
僕馬鹿だからあまり言葉が出てこないな…」
「スザク、ありがとう。嬉しいよ」
「ルルーシュ…」
「スザク…」
ざわついていた教室も次第に静かになっていった。
というよりも誰も囃し立てることが出来なくなるくらい甘い空気を出し始めたのだ。みんな限界です、
と言わんばかりに顔を真っ赤に染め上げている。
今にもキスしそうなほど、ルルーシュとスザクの顔は近い。
そんな中、顔を赤くすることもなく冷静に見ていた二人、カレンと
「さあスザク。言い残したことはないか?」
「…ゼロっ」
ルルーシュの双子の兄、ゼロ。
皇族スマイルを張り付けて、優雅に足を組んで座っている彼。
その姿を見た瞬間、スザクの血の気が一気に引いていった。
そこで我に返ったルルーシュも顔を真っ赤にして離れる。
ゼロが一歩一歩、スザクの方へ向かって歩きだした。
「我が片割れとの感動の再会は終わったか、スザク。私の前でいい度胸だな。
お前も大概に学んだらどうだ?この脳味噌筋肉馬鹿が。」
「ハイ、スミマセン!!……てどうしてゼロとルルーシュがここに……?」
「ああ、それは私からのサプライズだ。なあカレン。」
「…スザク、あなた知らなかったのね。」
「え、なにそれ!カレン、知ってたの!?」
「ちなみにルルーシュにも教えていなかったがな。」
「あ、カレン。カレンもいたんだ!」
「ルルーシュ、私ずっといたわよ…」
いきなり教室で繰り広げられたことに当然のことながらついていけないクラスメイトと教師。
「誰か説明して…」
とクラス一同の心境を言葉にしたのはリヴァルだったが、それに答えるものはいなかった。
しばらく続きそうな騒動を、ただ呆然と見守るしかなかった。
2007.03.21
小さな恋のものがたり
幼少。ガキ大将スザク→喧嘩腰ルルーシュ。続きそうで続かない。
「お前、あいつのことが好きなんだって?」
「ち、違うよ!あんな男女、誰が好きになるかよ!」
「スザクは?スザクは好きなやついないのかよ?」
「俺?俺は別に…」
そう言われて頭に浮かんだのは、いつも喧嘩ばかりしているブリキ野郎だった。
「このブリキ野郎!女ならもう少し女らしくしろよ!」
「うるさい。その発言は男女差別だ。それにお前にそんなこと言われる筋合いはない。」
昨日の夕方もこうやって喧嘩をした。
大体想像のお姫さまはこんなんじゃなかった。
小さいときに見た絵本みたいにふわふわで可愛らしくておしとやかで。
ナナリーはお姫さまにぴったりだけど、ルルーシュは全然違う。全然想像のお姫さまとは違う。
自分のことを『僕』って言うし、それに口も悪い。服装だって男みたいだし、とにかく違うんだ!
あんなのお姫さまどころか女ですらない!
思いっきり頭を振って出てきたルルーシュを消した。
「バーカ。そんなのいるわけないだろ!大体俺は同い年には興味ねーよ。」
「何お前!お前年上が好きなのかよ!」
「当たり前だろ。同い年の女なんてガキだよガキ。」
「あーお前の家、お手伝いさんとかいるもんな。綺麗な姉ちゃんとかいるの?」
「いるいる。俺好みのすっげぇ綺麗な人!」
そんな下らない話をしながらの帰宅道。
途中で公園によって遊んだけれど、何故かルルーシュが頭から離れなくてイライラした。
「……お帰り」
「……ああ」
途中で父さんい早く帰るように言われてたのを思い出して帰ると、たまたまあのブリキ野郎と会った。
さっきの事を思い出してなんか八つ当たりしそうな気持ちになったけれど、お帰り、なんて言われて、
思わず返事をしてしまった。
だいたいあのときは言わなかったが、何も絶対年上がいいというわけではない。
同い年でも年下でもいいが、あえて言うなら年上が一番いい、っていうだけだ。
それに俺は強い女は好きじゃない。どうせなら自分を立ててくれて影でひっそりとしているような女とか、
守ってやりたくなるくらいの方がいい。
そう、たとえばナナリーのような。
ナナリーは想像通りのお姫さまだし可愛いし、それに守ってやりたくなる。
うん、好きになるならルルーシュなんかじゃなくて間違いなくナナリーだ。
それなのに、何であのときからルルーシュが頭から離れないんだ、クソ!
イライラするイライラするイライラする!
どうしようも無くて、イライラする気持ちを稽古で発散させた。
スザナナじゃないよ!
2007.03.27
こんなのが書きたい3
騎士皇子パラレル。中途半端に始まって中途半端に終わってます。
今日はたまたまどうしても抜け出せれない大切な軍務が入ったとかでスザクとは行動を別にしていた。
学校を休むように言われたがそれを拒否し、せめて護衛を、という己の騎士を校内は安全だし登下校は車で送迎してもらうから、
と半ば無理やり納得させ一人で学校にきたこの日に、どうしてこのような事態になってしまったのだろうか。
学園がテロリストに制圧された。
生徒会をはじめとする無差別に選ばれた全校生徒の約3割を人質として校庭に集めた。
さすがに全校生徒を人質にとるのは良策ではないと思ったのだろう。
それはあながち間違ってはいないだろう。自分たちの目の届かない大人数より完全に制圧できる人数を人質にするほうが賢い。
それにこれだけ人質をとっていればさすがに残りの生徒や教師たちもどうかしようとは思わないはずだ。
だが白昼堂々とテロを行うには人数が少なすぎる。目に見えるだけで10人いるかいないか。
銃やサーベルを持ってはいるがこの人数ならスザク一人で片づけられる範囲だ。
といってもスザクはいないのだけれども。
しかしスザクがいなくて良かった。
テロリストたちが政庁に直接要求したのはこの学園に通う皇子とその騎士。
学生だから、ということで今まで顔を伏せていたルルーシュを知る者はそうはいないが、
その代りであるかのようにスザクは軍やテロリストたちの間では白の騎士として知らない者はいないと謳われるほどだ。
今日この場にいればすぐに見つかっていたに違いない。
しかしおかしい。
皇子と騎士を要求しているにも関わらず、テロリストたちはそれが誰であるかを知らないようなのだ。
皇子や騎士の名前を言わなければ人質として捕らえられている自分に気づいていない。
一番前にいるのだから顔を知っていれば気付かないわけがないのだ。
ということはこの事件には裏で誰かが手を引いているに違いない。それも確かな人物の支援。
でなければこんな少ない情報でテロを起こそうなんて考えるはずがない。
――主犯の想像がついてしまった。
おそらく第4皇子。俺が彼の統治するエリアの総督として派遣されることが決まったからそれが気に入らないのだろう。
元から自分は皇族内では好かれていなかったのだからテロに見せかけて殺してしまおうというところだろう。
ああ、こんなことならさっさと学校を辞めておくべきだった。自分の未練のせいで無関係な人たちをも巻き込んでしまった。
幾度となく自分が皇子だと名乗り出そうになったが、それを隣のミレイが止めるし、
それに自分でも今はそのタイミングではないと分かっているから動けなかった。
クロヴィス兄上は混乱しているだろう。だから軍もいまは統率力がなくなっているに違いない。
それとスザク。あいつは間違いなく単身で乗り込んでくる。
周りの静止を振り切ってでも、隠していた己の身分を曝してでも、間違いなく助けに来る。
元からこのような行為は許し難いものだとい言うスザクだし、それに人質は学友だ。
ましてやそこに自分もいるのだから、彼は己の身など顧みずに乗り込んでくるだろう。
2007.04.29