perfume *ある日の生徒会室3



「ん?」
「え?」

ふと、書類を持ったルルーシュが猫じゃらしでアーサーと遊んでいる(遊ばれている、ともいう)スザクの後ろを通った時、小さく声を出した。
眉間に微かに皺を寄せて書類をテーブルの上に置くと、その顔のままスザクの真後ろまで移動する。
スザクは非常に動揺していた。それもそうだ。椅子の上にいるアーサーの目線に合わせていたため体は当然しゃがんでいたのだが、 そのスザクに覆いかぶさるようにルルーシュは上半身を曲げたのだ。それも、スザクの項に顔を埋めるように。

「あああああの、ルルーシュ…?」

とたんにして顔を真っ赤に染め上げたスザクの声は非常に情けないくらい上ずっていた。 今までアーサーにとっては鬱陶しいくらいに目の前でふりふりと揺れていた猫じゃらしは動揺のためか目にも止まらないくらいのハイスピードで揺れている。
(え、え、え、なになに!?え、これって甘えてるとか?うっそまさか! え、でもルルーシュが自分からこんな風にしてくることなんてないし…!)
しかしルルーシュから返ってきた声はそんなスザクの淡い期待を裏切るような低い声だった。

「…お前」
「な、なに?」
「香水、付けてるだろう」

そんな2人をはらはらして見ていたメンバーは皆目を丸くした。
(ちなみにはらはらしていたのはルルーシュとスザクが喧嘩をするんじゃないかという心配からではない。 また自分たちがとばっちりと受けるんじゃないか、という心配からのはらはらだ。)
酷く不機嫌そうに両腕を組みスザクを見下ろしている。
スザクは、へ、と間抜けな声を出した後、少ししてああと合点がいったのか、そんな声を出して両方の眉を下げて苦笑した。

「まだ、匂う?」
「…それなりに」
「うーん。ちゃんと落したはずなのになぁ」

肩口に顔をよせてくんくんと匂いを嗅ぐスザクに、ルルーシュの顔はますます不機嫌になっていく。

「…なぜ、香水をつけている」
「自分でつけたんじゃないよ」
「はぁ?」
「ほら、僕さっきまで軍務だったじゃない?そこで上司がふざけて首のところにいきなり香水かけてきてさ」
「……」
「あんまり匂いがきつかったから来る前にトイレで落としてきたんだけど…」

制服に移っちゃったのかな?とスザクが情けなく笑ったその瞬間、ルルーシュはいきなりスザクの腕を掴みあげて立たせた。
突然のことに驚いて目を見開いたスザクは持っていた猫じゃらしをアーサーの上に落としてしまいアーサーが小さく唸る。
けれどルルーシュはそんなのお構いなしにそのままスザクの腕を引っ張って生徒会室の出入り口の方へと歩きだした。
え、え、と情けない声を出すスザクとぽかんとそれを見守る生徒会メンバー一同。

「洗濯してやる」
「え、いいよ、自分で…」
「今すぐ洗濯してやるからついてこい」
「ほんと、自分でするから」

スザクの力ならルルーシュを止めるのなんて容易いだろうに、よっぽど動揺しているのかそのままルルーシュに引きずられていく。
そして、生徒会メンバーがようやく我に返ったその瞬間に、爆弾は落とされたのだ。

「お前からお前以外の匂いがするのは不愉快だ」
「…え?」
「不可抗力でも二度と香水など付けるなよ。俺はお前の匂いが一番すきなんだからな」

再び固まってしまった生徒会メンバー。
相変わらず不機嫌を表した顔のままのルルーシュと茹でタコより赤いんじゃないかと思うくらい真っ赤になったスザクが生徒会室から出て行くのを、 なんとか確認できたのだった。



残されたメンバーは

「…今日はいつもの痴話喧嘩とはレベルが違ったよね」
「…そう、ね。なんか、ごめんなさい、って感じ」
「…スザク君の上司、余計なことをしてくれましたよね」
「だよな。…てか、さ」
「なに?」
「ルルーシュのやつ、あいつ、絶対無自覚だよな、のろけたの」
「…そうね」

はあ、と大きなため息をついたのだった。




ある日の〜は女王様ルルーシュと尻に敷かれてるヘタレスザクが基本です




2008.06.21










ex-boyfriend
スザルル前提ロロルルロロ



「ね、兄さん」

自分よりずっと低い位置から感じる縋るような求めてやまないような視線。
腰にぎゅっと腕を回していた偽りの弟ロロが切なげに俺の胸に擦り寄ってきて。
そこから見上げるふたつの目。
やばいと頭の中で警告音が鳴り響く。
――何がやばい?俺は何に警戒している?

「にいさん」

腰から背中に腕が回る。
くるしい。これはロロの腕の力?それとも、

(それとも、なんだ…?)

俺の胸元でくぐもる声。にいさん、て、何回も。
なんだこれ。胸が締め付けられる。ロロ、ってナナリーに言うみたいに呼びたくなる。

「にいさん、僕を、みて」

背中の腕が首に回った。その片方が頭の後ろを押さえる。逆らわずにそのまま首を曲げると、ロロと目が合った。
それがどんどんと近付いてくる。どうして俺は促されるままに体を屈めてるんだ。なぜ、なぜ。

ちゅ、と俺のそこにロロの唇が触れた。
触れるだけのそれ。ロロはもう一度俺の顔を見ると、兄さん、と小さく言って、またくちびるに。

「僕、兄さんがいれば、なにも、いらないんだ」

ああまた。

「もう、忘れて、」

こんなスザクと比べたら弱い腕の力、振り払おうと思ったら、できるのに。

「もう、枢木スザクなんて、忘れて」

泣いてる、気がした。ロロが、泣いてる。
どうしよう。ロロが泣いてる。泣くなよ。泣かないでくれよ、ロロ。
ちゅ、ちゅ、と触れるくちびるが、愛おしい。
なんで、おれ、スザクがすき、なのに。

「ロロ、」
「にいさん、だいすきなんだ」

言葉の間に触れるくちびる。
ロロの悲しそうな声が、顔が、俺の胸を締め付ける。
どうしよう、もう、おれは、ひょっとして、

「たぶん、できない…」
「…っ」

ああお願いだからそんな泣きそうな顔するなよ。
お前なんか、お前なんかすぐに捨てるつもりだったのに。
それなのに、

「でも、ロロ、おれ、たぶん、お前が、」

スザクの名前を呼ぶみたいに、ロロ、ってお前の名前を呼びたくなるんだ。
そんなに俺が好きならもっと強くぎゅって抱きしめろよ、て思うんだ。

「たぶん、ロロを、ロロが」

好き、ていう言葉は言えなかった。
キスしていた。ロロからじゃなくて、俺から。

ロロの腕が首と背中に回って今までのが驚くくらい力強くぎゅって抱きしめる。
どうしよう、すごく安心する。すごくドキドキする。

薄く口を開けるとすぐにロロの舌が入ってきた。それに応えると快楽に体が震えた。
そしてどうしてだか少し、涙がでた。


何回も何回も深いキスを繰り返して力の抜けた俺はロロにベッドに押し倒された。
兄さん大好き、というロロの後ろ、開いたドアからスザクが見ているのに気付いたけれど、 どうしてだろう、俺も、と言ってロロを引き寄せてまた、キスをした。




2008.06.25










taste
スザルル前提ジノルル



「(あれ、ルルーシュのほっぺたにクリームついてる)」

会長さんの出してくれたシュークリーム。ふと、隣に座るルルーシュを見ると頬にカスタードクリームが。
こないだもご飯粒付けてたしこういうところ抜けてるんだよなーかわいいなぁ。
なんて思うんだけど言えない。絶対すぐに怒るし。あ、でも顔を真っ赤にして恥ずかしがる姿も見たいけど!
とりあえずもしゃもしゃとおいしそうに食べるルルーシュのそれを取ろうと思って(もちろん舐めて!)こっそり顔を近づける。

「あっれー!ルルーシュほっぺたにクリームついてる!」

手をかけようとした顎は自分ではない誰かの手にさらわれて

「はーい取れた!」
「な、おおおま、お前…!」

目前にあったはずのルルーシュの顔と頬のクリームがなくなった。
代わりに僕の目に映ったのはクリームがあった場所を押さえ顔を真っ赤にしたルルーシュと、 机の反対側から身を乗り出すジノ。
にこにこと笑顔の、ジノ。

(しかもあいつ、いま、舌舐めずりしやがった…!!)

「…おいジノ。お前、覚悟はできてるんだろうな」
「なにがー…ってスザク?なんかお前黒いオーラでてない…?」
「骨の一本や二本で済むと思うなよ?」

大丈夫ジノ!ほら、僕ってなるべく平和的に片づけたい主義だし……なんて言うと思ったかあはははは!!

「誰の許可あってルルーシュに気安く触れてんだよお前今自分が何したか分かってんのかコラァ 貴族だからってなんでもしていい訳ないだろこれだから世間知らずの貴族は だいたい僕が舐めてルルーシュのクリーム取ろうと思ってたのに!!」

(((あ、最後のが本音だ)))

笑顔全開で手や首を鳴らすスザクと顔を真っ青にして焦るジノ、 赤い頬を押さえたまま固まったルルーシュの3人をミレイたちは呆れ顔で見て、思わずため息をこぼした。




「ていうかルルーシュ!!なんで頬押さえたまま固まってるの!なんで怒らないの!顔真っ赤だよ!!」
「……え、あ、ああ」
「てちょっとちょっと!!今なんかうっとりしてなかった!?」
「いや、そんな…ことは……」
「ほらほら語尾濁ってるー!!うわーんルルーシュは僕のなのにー!!」
「え、ルルーシュ俺に気があるとか?」
「お前は黙ってろジノっ!!」
「……やっぱり、なんか少し、ドキドキしたかも…」
「えええ!ちょ、ちょっと嘘だよね冗談だよねぇぇぇ!?」
「やった!俺って脈アリ?」
「お前もう消えろー!!」

そしてジノはスザクに殴られてルルーシュは半泣きのスザクに腕をひっぱられて部屋から連れ出されました。(byリヴァル)




あえてジノの一人称は俺で




2008.06.25