fact
R2スザ←ルル前提シールル ルルーシュが少し病んでます



もし俺が死んだら
(そうそれがたとえお前の手に因るものでも)
どうせなら姿形なにひとつ残らないように焼いてはくれないだろうか。
棺の中に俺が生きていたという証を全て詰めて業火の中に投げ込んでほしい。
墓なんて立てなくていいから。俺のことなんて全て忘れていいから。
そして決してもう一度生まれることのないように俺の灰を荒波の中に撒いて。 それか、枢木神社のあったところで撒き散らして。
俺のことは思い出さないで。ああ、でも誕生日だけは思い出して。それでもし、少しでも嘘でも涙を流してくれたらそれだけで俺は。


(なんて)
(馬鹿なことを考えてるんだ俺は)

(うそウソ嘘。全部、嘘)


スザクが今更俺の頼みを聞くはずがない。
第一あいつに殺されるつもりなんて微塵もない。
誰が死ぬもんか。俺は生きているんだ。生きるんだ。精一杯足掻いて生きてやる。俺が死ぬのは全てを終えてから。
愛?今さらそんなものあるか。皇帝に俺を売り払った男なんて、憎しみしかないに決まってるじゃないか。
ナナリーまで利用したあの男は、絶対に許さない。そうだ。 俺があいつの死体を作って棺に入れてあいつの痕跡を何一つ残さずこの世から消し去ってやろうじゃないか!!




「痛くはないか?」
「…べつ、に」
「そうか。私には痛そうにしか見えないがな」
「全く痛くないわけでは、ないからな」

情けないことに怪我をした。 もっと情けないことにC.C.に黒の騎士団の自室のベッドまで運ばれた。 非常に不本意だったが幸いその姿を誰にも見られることはなかった。
ベッドに放り投げられて仮面を無理やり外された。乱暴者め。 そう言うとC.C.は私は魔女だからなと答えにならない答えを言って、そしてチーズ君を抱いて俺の横に寝転がった。
これも不本意ながら今更C.C.と同じベッドで寝ることに抵抗など皆無だ。 だからそのまま好きにさせているとC.C.が向き合うように背中をひっぱる。 しょうがないから体を反転させて向き合うとチーズ君は床に落ちていた。

「お前はうそつきだな」
「なんだ急に」

いつお前に嘘をついた、と言うと私じゃないと言う。
じゃあお前はいつから他人を気にする女になったんだというとそれも違うと言った。

「お前は誰にでも嘘をつけるのだな」
「ナナリー以外には。ナナリーにだけは、嘘はつかない」
「…なあ、痛いだろう」
「こんな怪我、2,3日もすれば落ち着く」

それではない。
C.C.が不機嫌そうに眉を寄せて右の掌を俺にあてる。ここだ。そう言って止まった場所は胸の中心だった。
心臓が、止まるかと思った。

「…お前は、自分にも嘘をつくのだな」
「……なんのことだ」
「お前が一番、分かっているだろう」
「そんななんの得にもならないことはしない」
「目には見えない利益があるから嘘をついているんだろう」
「…」
「お前の心を保つ、大切な、嘘」
「…だまれ」
「泣くのか?泣きたいのならこの私の豊満な胸を貸してやろう。私を敬いながら使え」

誰も是を唱えていないのに無理やりC.C.の胸に頭を押し付けられる。 なんだこれは逆セクハラじゃないか。俺が訴えたら確実に勝てるぞ。

「…寝る」
「そうか。おやすみルルーシュ」

でも剥がすのが面倒だった、何より腹部の怪我が痛くて力が入らずC.C.に無理やり飲まされた鎮痛剤が効いてきたのだろう、 どうしようもない眠気に襲われた。
もういい面倒臭い。本人からしてきたのだから俺は一切悪くない。
それに、悔しいことにやけに安心している俺がいる。

可哀想で愚かな私のルルーシュ。
目を閉じて半分ほど意識を奪われたころ、髪を撫でられる感覚とそう言うC.C.の声が聞こえた。 相変わらず失礼な女だなと思ったところで、あとはもう覚えていない。
ああそうだ。どうせ俺は嘘つきだ。




うそウソ嘘!全部、嘘!!
だって死にたいわけないじゃないか!
スザクを殺す?まさか!俺がそんなことできるわけないだろ!
ああ嘘ばかり!
憎しみ?いいえ今でもそしてこれからもずっと愛してる!
本当はあなたとずっと一緒に生きていきたいの!

嘘で包んだ本当の気持ちは全部そのままC.C.に押し付けてやった。
どうせそれすらもこいつは受け止めるのだろう。やはり不本意ながら俺にはこいつが必要なのだと思った。




このあとカレンが来て顔を真っ赤にして怒りながら二人を引き剥がしてその必死さにC.C.に笑われるんです




2008.06.27










He was beside himself.
R2ディートハルト→ゼロ Dが変態で壊れてます



「貴様…何のつもりだ!!」

誰も知らない地下の部屋にゼロを押しこんで入口にロックをかける。
肩から床に下ろす、いや少々乱暴になってしまったから落した、という方が正しいのかもしれない。 小さくうめき声をあげたゼロはついですぐに怒鳴った。

「それはこちらの台詞ですよゼロ!!」

無理矢理外した仮面から現れたのは自分よりも年若い少年。
陶磁器のように白い肌に極上のアメジストの瞳、整い過ぎたすべてのパーツ。
あの仮面を被っていたのがこの世のものとは思えないこんなに美しい少年だなんて!ああ、ぞくぞくする!!
変声機なしの声はいつもより少々高く、けれどやはりゼロの面影を十分に残す声!!

「あなたがいけないんですよゼロ!ブラックリベリオンの後のあなたは変わってしまった… あなたは私の意見を全然聞いてくれなくなった…紅月カレンが捕まった時も天子を誰と婚約させるか決めるときも!!」

後ろ手に縛られて足も拘束されているにも関わらずゼロは気丈にも下から睨んでくる。ああもうこのお方は!!

「いい加減にしろディートハルト!この私にこのようなことをしてただで済むと思っているのか!?」
「今のあなたに一体何ができますか!身動き一つ取れずただ私を睨むだけ…ああゾクゾクしてしまいます!!」

変わることなんて許さない。
ゼロはいつまでもゼロであり続けなければ…私だけのゼロでなければ!!

「私の心を掴んで離さないゼロ…あなたはなんてお美しいのでしょうか。 ああ私はあなたの全てをカメラに収めたい。あなたを私のものにしたい…!!」

横たわるゼロの上に乗りかかる。今まで抵抗していた体は震え怒りを宿していた瞳は恐怖に揺れている。
ああなんて快楽!
あのゼロが、あのゼロが今この私の下に!!

「私を失望させたあなたがいけないんですよ、ゼロ!」

助けを求めるゼロの声なんてすぐに快楽の声に変えて見せましょう!!




2008.06.28










涙さえ知らない
ロロルル ロロのギアスが暴走した捏造



「あ、れ…?」

ただいま、と笑顔で言って僕に手を伸ばしてくれた兄さんはその格好のまま動かなくなった。

「にいさん?」

綺麗な笑顔。優しく微笑んでいつも飛びつく僕を抱きとめてくれようと思っていたのか、広げられた右腕。
どうして?もしかして、僕をからかってるとか?
やめてよ兄さんそんな冗談。笑えないよ。僕、泣いちゃうよ?

「ね、え…兄さん?兄さんってばぁ!!」

体に襲いかかる倦怠感。
兄さんの後ろの方で頭を下げたまま動かない咲世子。
嘘だよね嘘だよねお願い嘘だって言って…!

「…っ」

じわり。一歩後ろに下がる
じわりじわり。二歩三歩、四歩五歩六歩七歩八歩九歩十歩


兄さんは動いてくれなかった。


「――――――兄さんっ!!」


ギアスが、暴走した。




『ロロ、ご飯作ったから降りておいで』
「うん、ありがとう、兄さん」

あの後C.C.が来た。
固まった僕と動かない兄さん、そして僕の右目を見てC.C.は「お前もか」とだけ言って少し微笑んだ。 でもその微笑は楽しい時のそれとは違う感じだった。
もう少し離れてみろ、C.C.が言った。確かに兄さんとの距離は5メートル強。 言われるままに離れようと思ったけれど体が動かない。どうしてどうして動かないんだ僕の体。 動けよ、動いて早く兄さんを――

結局C.C.が僕の腕を掴み無理やり歩かせるまで僕は一歩も動けなかった。

効果範囲はその時半径100メートルは超えていた。それがどうにか今はむらはあるが3メートルくらいにまで落ち着いた。
たかが3メートル、されど3メートル。
兄さんと話すのも携帯が主になっていた。

広いクラブハウスのロビー。
放課後になると兄さんは鍵を閉めて誰も近づけないようにし、3メートル、その距離を取って僕と話してくれる。
近いようで遠い3メートルは、怖い。

「兄さん」
「ん?」
「僕さ…僕さ、兄さん」
「…うん」

泣いていいんだよ、ロロ


近くで兄さんと話したいとか兄さんから触れてほしいとか兄さんに抱きしめてほしいとかこの3メートルを壊したいだとか。

言えなかった。



僕を支配するのはとても変な感情だった。でも僕はそれの名前を知らない。 ぐるぐる渦巻いてどうしていいのかどう処理するのか分からない。 泣いていいと言う兄さんの言葉通りに泣けたらこの気持ちも少しは晴れるのだろうか。 でも僕は泣き方なんて分からなかった。知らなかった。 けれどこの渦巻くものはきっと辛いとか悲しいとか寂しいとか恋しいとか、そんな類のものなんだろうと思う。 だってもう、兄さんに触れない。

もしこの右目を刳り貫いたら僕は普通になれるかな?

そう言ったら兄さんが怒って、だけど涙を流しながら怒鳴った。「嘘でもそんなこと二度と口にするなよ!」 おそらくそうなるはずだった言葉は、兄さんが3メートルに入ってしまったために最後まで聞くことはできなかった。
やっぱり右目を刳り貫こうかなと思った。涙がこぼれた。




2008.06.30