あなたを喰らう
R2スザ→ルル
ゼロが再び現れたとの知らせを受けたとき、怒りと憎悪を感じそして呆れた。
大人しく記憶を失ったまま偽りの弟と監視されながら生きていけばいいものを。
ルルーシュの記憶が戻ったという報告は受けてはいないが俺は確信している。
あれは、ルルーシュに違いない。
あんなことができるのはルルーシュしかいない。
「残念だよ、ルルーシュ。俺は、君を殺さなくてはいけない」
けれどどこか歓喜に震える自分がいた。
だってこれでルルーシュの中は自分でいっぱいになるのだ。
だからわざわざナナリーまで使った。
ルルーシュの中が俺への憎しみでいっぱいになるように。
愛なんかよりも憎しみのほうがずっと心に蓄積されていくことを俺は知っているから、だから!
「ルルーシュ、愛してる」
一年ぶりの再会、カメラの死角にルルーシュを押し込み抱きしめて愛を囁く。
俺も愛してるよ。
そう言って微笑んだルルーシュ。笑顔は以前のままだったがその目には憎しみと怒りしかなくて俺は嬉しくて鳥肌がたった。
「大好き、愛してる」
キスをすると少しの抵抗もなくルルーシュは俺を受け入れた。
(憎い憎い憎い。安心してルルーシュ。お前は俺が殺してやるよ)
そんな思いをこめてキスをした。
返ってきたルルーシュのキスからも同じように憎しみが伝わってきた。
俺の思惑はどうやら成功したようだ。
これで、ルルーシュは死ぬまでずっと俺のことを忘れないのだから。
R2の対ルルーシュ時のスザクの一人称が心の中じゃ俺だといいなという願望
2008.07.06
恐怖の足音
R2スザク+ジノ あなたを喰らう の続き
「お前、頭がおかしいんじゃないの?」
スザクの話を聞いて私はその時初めて、スザクが怖いと思った。
普段の穏やかな笑顔など消え、戦場でも見せない恐怖を駆り立てるような顔。
雰囲気もいつもの穏和に感じるそれとは違い黒さを感じる。
一人称も僕から俺に変わっていて、私はこのスザクがきっと本当のスザクなのだと感じた。
「どうして?だって、そうじゃないか、ジノ」
歪んだ笑みでスザクが笑う。くすくすと。
普段の彼は一体どこへいった。
スザクはゼロが誰であるのか知っているのだろう。そしてそれは誰であるかを私に教えるつもりはないらしい。
スザクが突然語りだしたことは核心を避けていたから矛盾しているところや曖昧なところが多かった。
だから私はゼロの正体を知らないし、そもそもスザクはその憎むほど愛している相手がゼロだと一言も言っていない。
けれど私はその相手がゼロなのだとなぜか確信していた。
「いや、だっておかしいだろう?愛してるのに憎いだなんて。愛されるより憎まれたいだなんて」
私だったら愛する人からは愛されたい。
憎み憎まれる関係なんてごめんだし、普通はそうだと思う。
なのに、スザクはやっぱり笑顔で言うのだった。
「だって愛なんて永遠じゃないだろう?憎しみは、死ぬまで永遠だ。憎しみは愛よりも強く注がれ続けるんだ」
それはなんと幸せなことじゃないか!
そう言って学生服を着て学校へ向かうスザクはいつもよりどこか高揚していてそして嬉しそうで。
私はやっぱりスザクが怖いと、そう思った。
2008.07.06
あなたを愛す
R2スザルル あなたを喰らう→恐怖の足音 の続き
目の前の男はかつて愛した男。
いや、それは間違っているか?今でも確かに愛している。
ただ愛よりも憎しみの方が勝っているだけ。
ああ憎い。この男を今すぐここで殺してやりたいくらい。
スザクは俺に以前のように接してくる。
愛してると囁きキスをして体を重ねる。
だがなスザク。お前、俺の記憶が戻っていることくらい確信しているのだろう?
だってお前の目にもキスにもセックスにも、お前が俺に向けるもの全てに憎悪しか感じないのだから。
「スザク、今日は暇か?」
「うーん。たぶん大丈夫だと思うよ」
「なら今晩家に来ないか?」
「君がいいならぜひ」
偽りの会話。
周りは仲が良いなくらいにしか思わないだろうが、俺らにしてみれば所詮全部嘘の塊。腹の探り合い。
一応記憶が戻っていないことになっているのだから昔のように誘わないと不自然だということもあるが、俺は気づいてしまったのだ。
スザクが俺に憎悪を向けられるのを喜び、そして俺もスザクからそれを向けられるのに愛よりも確かなものを感じていることを。
「ああ憎い。すぐにでも殺してやりたい」
スザクがシャワールームに行っているときに零れた言葉にロロは顔をしかめた。
意味が分からないよ兄さん。憎いのにどうしてそんな笑顔で言うの?
ロロは困惑してそう言った。
分からないのは当然だろう。きっと、こんな醜い感情なんて俺とスザクにしか分からないに違いないのだから。
「それはなロロ、俺がスザクを愛してるからだよ」
ロロはますます分からないと顔をしかめた。
ベッドの上。俺を押し倒すスザクの顔は昔のような笑顔でけれど目だけが違い完全に憎しみのこもったそれ。
絡み合う視線がお互い少しも憎悪を隠そうとしていなくてそれが可笑しくて笑いそうになった。
貼り付けた笑顔の下、俺はこんなにもお前に殺意と憎悪を向けられることを歓喜しているのだとお前は知らないのだろうな、
そう思うと嬉しくて体が震えた。
2008.07.06