気になるあの子
「おーいスザク!今日一緒に遊ぼうぜ!」
「ごめんジノ!今日は寄るところあるから」
「またぁ?今日も、だろー?なあなあ、どこ行くんだ?私も行く!」
「だーめ。僕が一人で行くからいいの!」
「…分かった!あの近所に引っ越してきたっていう可愛い子のとこだな!」
「そう。今日は頼まれて僕が幼稚園まで迎えに行くんだ!」
「お前ほんと、最近付き合い悪いよなー。なあ!私にもその子紹介してよ!」
「…なんで」
「そんなにスザクが夢中になるくらい可愛いんだろ?私も仲良くなりたい!」
「…ルルーシュは男だし5歳だぞ?」
「…あれれそんな変態を見るような眼で見るのやめてくれないかなスザク君」
「いや、だってさ」
「そんな意味じゃないんだけどな。ただ純粋に仲良くなりたいっていうか」
「駄目」
「なんで!?」
「可愛い可愛いルルーシュを他の男に紹介するなんてできません!そんなの僕が許しません!」
「…お前の方が変態じゃね?」
下校直前の騒がしい教室の中。
スザクと仲の良いジノが彼を遊びに誘って断られるこの一連の流れはもはや最近の恒例行事のようなもの。
本当付き合い悪くなったな私すねるぞスザク、とウキウキとランドセルを背負って駆けて行く背中を見ながらジノはぼそりと呟いた。
2008.07.29
きになるあのひと
「るるーしゅくん!きょういっしょにあそばない?」
「…ごめん、ぼく、きょうだめ」
「なんでなんで?さいきんつきあいわるいぜるるーしゅ!」
「ごめん。きょうは、だめなんだ。またこんど!」
「えーつまんないよー!あたしるるーしゅくんとあそびたーい!」
「ほんと、ごめんな」
「あれ、もしかしてすざくおにいさん?」
「そう!きょうな、むかえにきてくれるんだ!!」
「ルルーシュ!!」
「すざく!!」
「…あたしもあそびたい!!」
「おれも!な、こんど、むりやりいかない?」
「いく!」
きゃー!と嬉しそうに抱きつくルルーシュと、それを大切に受け止めるスザク。
幼稚園のママさんたちからもあらあらと微笑ましく見られる彼らはやっぱり幼稚園でも注目の的でした。
2008.07.29
それは運命
出会い編
店番はとても退屈だ。
そんなにいっつもお客さんが来るわけじゃないし、なにより遊べない。それに店番しながら宿題しなくちゃいけないし。
今日だって本当はジノと遊ぶはずだったのにいきなり店番頼むんだから遊べなくなっちゃったし。
「あーあ。ひまー」
宿題もそんなにあったわけじゃないし。
だいたいなんで僕が店番なんてしなきゃ…
「こんにちは」
「あ、いらっしゃいませ」
机に伏せていると自動ドアの開く音がして、頭の上の方から女の人の声が聞こえた。
お客さんの前だ!と思って慌てて顔を上げると、そこには黒髪の綺麗な女の人がいて。
(あれ。この人、こないだの迷子の子と似てる…?)
「こんにちは。先日引っ越してきたランペルージと申します。今日はあなた1人?」
「あ、はい、そうです!父さんは配達で母さんは買い物で…あ、こんにちは!」
「うふふこんにちは。礼儀正しいのね」
その黒髪の綺麗な女の人がにっこりと笑った。
挨拶していないと思って立ち上がって頭を下げると、カウンターの下の方に、ちょこっと黒い物体が見えた。
なんだろうと思って少し体を伸ばして覗き込むと、そこには黒い髪の小さい子が大きな目をして僕の方をじっと見ていた。
「…あれ」
「息子なの。ほら、挨拶は?」
「…るるーしゅです。5さい」
「ルルーシュ君、ていうんだ。こんにちは」
「この子ったらどうしてもあなたに会いたいって言って聞かなかったのよ」
「かあさん!!」
「そっか。ね、きみあの時の子だよね。見かけない子だなって思ってたら、引っ越してきたんだ」
数日前に僕をじっと見ていた男の子。実はずっと気になっていて。
そうかルルーシュっていうんだ見た目だけじゃなくて名前も綺麗だな。
なんて思っているとルルーシュが隣のランペルージさんの袖をくいくいと引っ張った。
「…ね、」
「ん?どうしたのルルーシュ」
「ね、なまえ!」
「ああそうね。ねえ」
「はい?」
「ルルーシュがね、あなたの名前が知りたいんですって。よかったら教えてもらえる?」
「あ、ごめんなさい!僕自己紹介まだでしたね」
相手の名前だけ聞いて僕は何満足してたんだ!と慌ててカウンターから出て、
どうしようかなと思ったけどルルーシュに目線を合わせるようにしゃがんだ。
「僕の名前はスザクっていいます。初めましてルルーシュ君」
「!!はじめまして!!」
幼い子特有のふっくらとした頬をほんのり赤く染めたルルーシュが花のように笑った。
これが僕とルルーシュの本当の出会いでした。
一番最初のSSでお互いの名前を認識してるはずだよという突っ込みは無しの方向で^^
2008.07.31