「すき」
そう言えたらどれだけ楽だろう。
でも駄目だ。
きっと君は困ったように少しだけ顔をしかめて笑って、
僕を傷つけないような言葉を選ぶんだ。
ほら、今もきみは
(思わず握りしめてしまった手を、君は驚いたように目を見開いて、そして困ったように笑って離すんだ)
スザク→ルルーシュ 泣かないよ、負けないよ 2007.06.14
上のルルーシュ視点
「すき」
きっとあいつは無意識で言ったんだろう。
その証拠にあいつはぼうっと惚けている。
その言葉に心が弾む自分がいる。「すきだよ」と言いたくなる。抱きしめてもらいたくなる。
でも駄目なんだ。
だってお前は軍人で、そして俺は、お前の憎む
ゼ ロ
ぎゅっと手を握られた。嬉しかった。けれど、誤魔化すように笑って離したんだ。
(本当は握り返したかった。けど、俺にはその資格が、ないから)
スザク←ルルーシュ 泣かないよ、泣けないよ 2007.06.14
「スザクさん、スザクさん」
「ん?どうしたんだい、ナナリー」
近づいてきて、目の前でしゃがみこんだ気配を感じた。
お兄様はいま、あたらしい茶菓子を用意するためにここにはいない。
耳を貸してください、とちょっとだけ手招きして、その耳にこっそりと。
「あんまりお兄様に無理させないでくださいね?お兄様、スザクさんほど体力ありませんから。」
ベッドの音とか声とか、聴こえますよ?
ちょっとだけ意地悪。良いですよね、たまには。だって、私もお兄様が大好きなんですもの!
わたわたとスザクさんが慌てるのを感じて、思わずくすりと笑ってしまう。
何してるんだよスザク、とちょっと不機嫌な声のお兄様が聞こえてきたから、私はそっちまで移動して。
「あのね、お兄様」
「わわわ!待って、待ってよナナリー!!」
「…スザクになにかされたのかい?」
「私もスザクさんも、お兄様が大好きです」
だってスザクさん、こんなにもお兄様を大切に思ってらっしゃるのですから。
ああきっと今きょとんとしてるのでしょうね。そして、きっと綺麗に微笑んで顔を赤く染めて、
「ありがとう」
だから嫉妬しちゃった私の、ちょっとした意地悪。
スザルル+ナナリー たまにはいいですよね! 2007.06.14
「待ってよルルーシュ!」
「嫌だ!絶対に嫌だ!」
「お願いだから、ね、待って!」
「嫌だと言っている!」
休み時間。移動する生徒や喋っている生徒が呆然とその道を空けていた。
ある意味校内で最も有名な、二人を避けて。
「ねー待っててばー!」
「い や だ !」
運動神経抜群のスザクにしてみれば、走っているルルーシュを捕まえることなんて容易いことだろうに。
でもみんな知っているのだ。これが、
「また始まったよ痴話喧嘩」
そう言ったのは彼らと同じ生徒会役員の彼。
誰も止めることなんてしない。
「あーあ、ルルーシュもスザクもあんな嬉しそうな顔しちゃってさ」
痴話喧嘩に俺らを巻き込まないでよね、とリヴァルの一言にその場にいた生徒一同心から同意した。
スザルル+α 犬も食わないってね 2007.06.14
ふわふわな髪に指を絡める。
くすぐったそうに身じろいで、うっすらと開かれた翡翠の眼。
俺が先に起きてるのがそんなに以外だったのか。
驚いたように「早いね」と言って、ちょっとだけ照れたように笑った。
「おはようスザク。愛してるよ」
自分からこう言うなんて珍しいと思う。
でも言いたくなったんだから仕様がないじゃないかと自分に言い訳。
眼を見開いて驚いて、そして嬉しそうに笑うスザクの唇に触れるだけのキスをした。
スザルル ひとときのしあわせ 2007.06.14