R2で捕虜になったカレンがその後学園に復帰したら、な捏造。 スザクはルルーシュの記憶が戻ってると知っていて、それをルルーシュも知ってます。 スザルル要素のが強いですがカレルル要素もありますので苦手な方はお戻りください。





「……あ」

ヴィレッタに付き添われ教室に入ってきた赤毛の少女に、リヴァルとシャーリーは声を上げた。
ルルーシュはというと声には出さなかったがその表情は驚きに満ちている。
そしてそのまま少しだけスザクに視線をやると、スザクは無表情のまままっすぐとその赤毛の少女、 カレンを睨むように見ていた。

「…カレン・シュタットフェルト。本日より復学することになりました。」

カレンは無表情で言うとヴィレッタに言われたままに空いている席、ルルーシュの後ろに座った。





「…久しぶりね、シャーリー、リヴァル」
「…カレン!!」

休み時間になり先頭を切ってカレンに近づいてきたのは生徒会の二人だった。
カレンが黒の騎士団ということも知っている二人は少しためらいがちであったが、 それでも嬉しさが勝るのかカレンが少し微笑んで声をかけると二人も笑顔を浮かべた。

「あのさ、どうしてまたここに?あ、いやその、嫌だとかじゃなくてそのただ単純に、思っただけで…!!」

慌てるリヴァルとシャーリーににカレンは少しだけ笑うと、二人と同じく自分のそばに来ていたスザクを下から睨み上げた。

「どこかの誰かさんが学校に行けってね。あなたたちが心配していたからってわざわざ私を捕まえてまで。 ハッ!お人好しもここまでくればただの馬鹿ね!」

あああなたたちのことを言ってるんじゃないのよ、と昔と態度の違う様子に少々驚いていたリヴァルたちにカレンは言うと、 がたりと派手な音を立てて立ち上がった。

「おかげさまでまた学校に通うことになりましたわ枢木スザク」
「…もう猫は被らないんだね」
「どうせここに前の私を知っている人は彼らしかいないから。今更、でしょう?」
「それもそうだね」

スザクは無表情のままカレンと向かい合う。
カレンを知らない新しいクラスメイト達はどういうことなのか分からないようだが、 二人の間柄を知っているリヴァルとシャーリーは顔を青ざめ息をのむ。
教室には似合わない重苦しい空気を遮断したのは、今まで無関心だったルルーシュだった。

「カレン」
「ルルーシュ!!」

穏やかなルルーシュの声と表情。立ち上がったルルーシュはカレンに向けて微笑んでいた。

「無事、だったんだな」
「ええもちろんよ」
ルルーシュがカレンに対し微笑みかけカレンもルルーシュに笑いかける。
スザクはそれが気に入らなくて衝動的にルルーシュの肩を抱きこんだ。

「……放しなさいよ枢木スザク」
「どうして君に命令されなきゃいけないわけ」
「ああ不愉快だわ。さっさとルルーシュからその汚い手を放しなさい」
「不愉快なのはこっちだよ。君こそ、もうルルーシュの前に姿を現さないでくれる」
「なによ。あんたがまたルルーシュと会わせてくれたようなものじゃない。その点においてだけは、感謝してるけど」
「言っておくが本意じゃない。そしてお前に感謝などされたくもない」
「ルルーシュと会えたことだけよ馬鹿。私だってあんたなんかに感謝なんてしたくないわ」
「なに君まだルルーシュに固執してるの?君、本当に邪魔なんだけどカレン」
「なにそれ嫉妬?ルルーシュの隣りに立てる私に嫉妬してるの?あらそれはいい気分ね!」
「…ただの駒が偉そうに吠えるなよ」
「なんですって!?」

スザクとカレンの間に再び思う空気が流れ始め、今にも掴みあいの、 否それだけでは済みそうにない騒動が起こりそうになったのを止めたのは、いつのまにか彼らの話の中心となっていたルルーシュだった。

「カレン、もうやめろ」
「でも…っ」
「スザクも。お前も少し落ち着いたらどうだ?」

未だスザクの腕の中にいたままのルルーシュは二人に苦笑しながら宥め、目の据わっているスザクの頬を右手で優しく撫でる。
それにカレンはむっとしてもう一方のルルーシュの手を掴んでスザクから引き剥がし自分の腕と絡めた。

「ルルーシュ、次の授業抜けましょう。私あなたと話したいことがたくさんあるの」
「ああ俺もだ。俺の部屋、来るか?」
「ええ是非」

腕を組み親しげにドアの方へと歩いて行く二人に教室中が黄色い悲鳴に満ちて、 シャーリーはというと一度疑った思い人と友人の仲の良さそうな姿に顔を真っ青にする。
スザクは両手を強く握りしめ、二人を睨んでいた。

「ルルーシュは誰にも渡さないから。もちろんスザク、あんたになんて絶対に」
「自惚れるなよカレン。ルルーシュは何年も前から、俺のものなんだよ」
「たとえそうだったとしてもこれからは違うわ。彼の隣りに立つのは、私よ」

ドアの手前で立ち止まったカレンはそのままくるりと後ろを向く。
怒りに堪えているスザクの姿を見てカレンは挑発的に笑った。
そのカレンにぷつりと糸が切れたスザクは片手を支えに勢いよく机を飛び越えるとそのままルルーシュの前まで移動する。
驚いた周りとカレンを後目にスザクはルルーシュの顎に手をかけ薄く口を開かせると、 そのまま喰らいつくように深くキスをした。
教室には再び黄色い悲鳴が広がる。今度は倒れそうになったシャーリーをリヴァルが慌てて背中を支えた。
くちゅりといやらしい音が聞こえて正気に戻ったカレンが二人を引き離そうとしたときに、 それを見計らったようにスザクが離れる。その際にルルーシュの口元に伝う唾液をぺろりと舌で舐めた。

「ねえルルーシュ。カレンさんと一体何の話をするのかな?」

先ほどカレンに対して見せていた態度と違い、普段の穏やかな感じでスザクはルルーシュに微笑みかける。 それが上辺だけのものだと気付いたのはルルーシュとカレンだけ。
ルルーシュも自然な笑顔をスザクに見せて、カレンと腕を組んでいない方の手でスザクの濡れている唇を拭った。

「たぶん、お前の考えてることであってるよ」
「やっぱりそうか。じゃあ、今夜はお仕置きだね」
「はいはい。じゃあ夜部屋で待ってるから」

そう微笑んでカレンと腕を組んだまま教室から出ていくルルーシュを笑顔で見送ったあと スザクはすぐに無表情に戻り鞄の中から携帯を取り出してどこかにかける。

「僕だ。ターゲットが彼に接触した。……ああ、目を放すなよ」

聞いたことのないスザクの低い声に状況を理解できなかった周りはびくりとするだけだったが、 その中でただリヴァルだけがなんとなく、 さっきのやり取りの中でどうしてだかルルーシュの秘密を知ってしまったような気がした。


「ああもう。ルルーシュに触れるものはみんな消えてしまえばいいのに」


授業開始のチャイムにかき消されながらもぼそりと聞こえた苦笑交じりの声にリヴァルは、 ルルーシュもスザクもカレンもみんな変ってしまったのだと、どうしようもない複雑な思いを抱えたまま席に着いた。















「ねえルルーシュ、今日の教室のでさ、ひょっとしたらリヴァルが気づいたかもよ?」
「何をだ?」
「君がゼロだってこと」
「ああそれか。まあ、別にいいんじゃないか?それよりお前はいいのか?」
「なにが?」
「天下のラウンズ様が反逆者のゼロとこんなことしてるのが周りにばれて」
「ああそれこそ別にいいんじゃない」
「そうだな。どうせ以前のような何も知らない平和な日常なんて、二度と戻ってくることなんかないのだから」
「言うね、君」
「当然だ。こんな腐った世界、俺が壊すんだからな」
「すごい自信。まあそんなの俺が絶対にさせないけど」
「お前こそ大した自信だな」
「自信があるからね。…それより君さ、昼カレンと何もなかったよね」
「…さあ。ま、たとえ俺がカレンを抱こうがお前には関係ないだろ?」
「ああムカつく。このまま殺してやろうか」
「俺も今すぐお前を殺してやりたいよスザク」

何も知らなかったころは愛を囁き合って寄り添って寝ていた。
けれど今はベッドの中でお互いの首に手をかけながら抱き合い眠る。
昔のようになれないことは、変わってしまったことは、この二人が誰よりもよく分かっていた。











結局この世は虚構と真実だけで構成されているのだ




















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スザクがカレンを捕虜にしたのがリヴァルたちがカレンのことを心配していたからだったらどうしようという妄想より。 だって本気でそう思ったんだからしょうがない!
もし復学したらカレンはルルーシュのそばを離れないんだろうな^^
スザルル大好きだけど最近カレルルも好きだからふたつを絡めたらルルーシュがタラシになってしまった気がする。
カレルル強めにしようと思ってたのにスザルル要素のが強いってあたしどんだけスザルル好きなんだよ。



2008.07.06
加筆修正 2008.07.12